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作者:左 阿千

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作:左 阿千

忘れ物、青春。

夏になるとなぜかノスタルジックな気分になるのは僕だけだろうか? 山を跨(また)ぐ大きな入道雲を見ていると、夏の蝉みたく消えてしまいたくなる。水辺ではしゃぐ小学生や、自転車に乗る中学生を見て愉快な気分になれないのは、僕にそう言った時期がなかったからかもしれない。 ともあれ、今年も嫌な季節がやってきた。 僕の通う高校も夏休みになった。夏休みの予定といえば部活、宿題、塾、以上。 部活は適当に理由をつけて休む。、宿題はラストスパートをかければ何とかなるし、塾だって夕方しかない。つまるところ、あまりする事がないのだった。 筋トレ部の爪楊枝(つまようじ)と呼ばれている僕と夏川は、今更ながら自分たちがまるで青春をしていないことに気がついた。 そもそもムキムキになってモテまくるために筋トレ部に入部したのに、僕たちが今までしてきたことと言えばいかに部活をサボるかと宿題をサボるかと言うことだった。努力だとか継続だとかいう言葉の対極にいた僕らにとってそれらは、ただただ苦痛でしかなかった。 もう今年で高校生になって2回目の夏休みになる。順当に行けば来年の夏は受験勉強に追われているはずだ。…多分。 なんとなく進学はする。そうなればうかうか青春なんてしてられない。 思い立ったが吉日。 そうと決まれば行動は早い。 宿題を投げ出し、僕たちは退部を伝えに顧問のもとに走った。 置き去りにしてしまった青春をとりに戻るにはもう今しかなかった。

更新:2022/6/24

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